ポストロックとは色々と解釈がありますが、90年代に現れた従来のロックの手法から逸脱した音楽性を示すのに使われる事が多いようです。
私的なイメージではロックは肉体的、ポストロックは頭脳的。ポストロックのバンドではモッシュとかジャンプとかはしませんもんね。
また主に楽器の演奏を主体に持ってくるインストバンドが認知されるようになり、ポストロック=インストなイメージも流布しています。従来のロックバンドのスタイルを保ちながら、ジャズ、ダブ、クラウトロック、アンビエントなどのジャンルのエッセンスを加えたトータスの台頭が一番シーンに影響を与えたのではないでしょうか。
トータスなどシカゴ音響派の人たちはヴィブラフォンやホーンの使用でサウンドにより深みをつけています。
少し遅れて現れた別の流れのポストロックを編み出したカナダのシーンでは、オーケストラが使用するストリングスなどのクラシック楽器を導入してロックの躍動感や焦燥感、扇情的な部分を表現するカオティックな轟音集団が出てきました。
静と動の起伏でカタルシスを生み出す手法は、ほぼ同時期に英国から現れたハードコア経由のモグワイのサウンドにも共通するところがあります。
歌詞でなく音響でエモーショナルを刺激したり映像を喚起させるインストポストロックは00年代に入ってからも多様化しています。市場は狭まりましたがそれは多分ポストロックがロックの範疇に入って耳慣れてしまったせいかもしれません。
K2レコードではそういったポストロック、アヴァンロックのCDを数多く取り扱っております。
テープ「リデュー」
スウェーデンのフリージャズ畑出身のミュージシャンによる電子音×生楽器トリオ。ミニマルなのに妙にエモーショナル且つ主張しすぎない「佇まい」の音楽。
トータス「TNT」
ポストロックという言葉が定着するきっかけになったシカゴ音響派の中心的バンドの3rdアルバムです。
ディラングループ「アップクラングサーチ」
後にマイスパレードとして活動するアダムピアースが在籍していた、ヴィブラフォンとリズム隊によるシンプルながらも濃密なセッション!
タウンアンドカントリー「イッツオールハズトゥドゥ」
民族楽器やクラシック楽器も駆使したジャズマナーのミニマルサウンドはとてもオーガニックな響きで和めます。
スモールセイルズ「シミラーアニヴァーサリーズ」
鉄琴やシンセなどのキラキラのサウンドとハミングボーカルが何ともいとおしい一枚!
アルバムリーフ「ワンデイアイルビーオン」
電子音を多用したキラキラとしたサウンドはエレクトロニカファンもトリコに!
リンビックシステム「シンボリスト」
ヴィンテージ楽器/機材に拘る兄弟ユニット。美メロとダイナミックなドラムで独特の音世界を作り上げています!
ラタタット「クラシックス」
エモーショナルなメロディと音色は「歌ってないのに歌ってる」というコピーが付くほど涙腺を刺激!
ペレ「ヌードス」
弾むようなリズム感と迸り出るギターフレーズが何とも痛快!後にコレクションズオブコロニーズオブビーズへと変遷。
モグワイ「カムオンダイヤング」
ギターの爪弾きからアンサンブルになり、緊張感が高まって一気に轟音へ雪崩れ込み、また静寂に返る。癖になります。