ヒップホップとはサンプリング、打ち込みなどで構成されたバック/リズムトラックに、ラップを乗せた音楽です。
但し、広義にヒップホップというと、70年代後半からニューヨークはサウスブロンクスで興ってきた黒人による、アートやファッションなどの文化的な現象を指していて、音楽に特化して言うなら「ヒップホップミュージック」とまで言ってしまわなければならないでしょう。
ここでは「ヒップホップミュージック」を「ヒップホップ」とします。
歴史を紐解くと70年代までさかのぼることになるのですが、いわゆるターンテーブルにて複数のレコードを掛け間奏部分を常に保つ「ブレイクビーツ」という手法でパーティーのBGMにするという事がこの時代から行われていたようです。
サンプリングとは、過去の名曲のカッコいいところを拝借して、自身で作ったリズムやフレーズ、ブレイクビーツと掛け合わせひとつの曲にしていく事を言います。
70年代のソウルの名曲や、レアグルーヴと呼ばれる1枚しかレコードを出さなかったアーティストたちが、ヒップホップの隆盛により見直されるという現象もおきました。
また、そういったリズムトラックに自身の思いをぶつけ言葉にして表現するMCも出現します。
単に言葉を乗せるだけでなく、リズムや流れも重視し、いわゆる「韻を踏み」ながら自分達の主張を、一番かっこよく表現できる人がリスペクトを受けます。
重要人物といわれるアフリカバンバータやグランドマスターフラッシュは正に現代ヒップホップの生みの親ともいえます。
90年代はヒップホップの隆盛期でもあり、様々な名曲や名盤が生まれる一方、暴力を排するために生まれたヒップホップが、その主張が過ぎたのか暴力に繋がっていってしい、ラッパー同士の抗争なども起こりました。
実際に2パックやノトーリアスB.I.G.らが命を落としています。
その後、他ジャンルとも積極的に交流を見せ、ポップミュージックにラップが絡むことは当たり前のような時期もありました。
ヘヴィメタルとの融合で、リンプビズキットなどがラップメタル一大ブームを巻き起こしたり、
もはやヒップホップはミュージックシーンにおいて「いちジャンル」として認識するにはあまりにも大きくなっていくのでした。
現在もアンビエントでスモーキーなトラックだったり、エレクトロニカのような音つくりをする人も出てきており、改めてアンダーグラウンドなところで新たなヒップホップが生まれては聴かれていっています。
また80年代のオールドスクールを溯って聴きなおす若いリスナーや、90年代を代表するN.W.Aの映画が作られたりと、にわかにヒップホップのサイクルがまた「あの頃」のように回り始めているのかもしれません・・・。